Eyesworth

グラン・トリノのEyesworthのレビュー・感想・評価

グラン・トリノ(2008年製作の映画)
4.7
監督・主演クリント・イーストウッドが送る2008年のヒューマン映画。

近年のトム・ハンクス主演『オットーという男』と内容が酷似している。勿論先代はこちらだが、「気難しい老人が隣に越してきた家族らとの交流を経て徐々に寛容な心を手に入れて、最後は亡くなるも愛車を大切な友人に譲る」までが一緒なので笑ってしまった。こちらを先に見るべきだったかな。
クリント・イーストウッドといえば、私の中では『ダーティハリー』のハリー・キャラハンの人でハリウッドのシンボル的スターであるが、老年まで息長く渋味のあるマッチョな白人男であり続けたことに賞賛を送りたい。

この作品のキーは、老人コワルスキーが誰にも譲る気の無かった愛車グラン・トリノという頑固さの象徴をアジア系移民モン族の若い友人タオに継承することに尽きるだろう。そこに至るまでにも未熟な彼に男の流儀を教授したり、仕事を紹介したり、彼の人柄からは想像できないほど面倒見よく付き合い続けたのだが、それが原因で皮肉にもモン族同士の悲惨な事件に巻き込まれることになる。それにもかかわらず老人は勇んで事件の顛末を全て引き受けて犠牲になることを決断し、青年の後に犯したであろう罪を庇う形になった。人種差別的な態度・発言が多かった彼が無関係な人種の友人のために敢行した悲しき幕引きに心が張り裂けそうになる。
ONEPIECEのチョッパーとDr.ヒルルクのエピソードを思い出したからだろう。
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