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ビューティ・ペア 真赤な青春のblacknessfallのレビュー・感想・評価

2.7
その存在は知ってたが鑑賞機会がなかったビューティペアの映画を東映オンラインシアターが期間限定公開してくれた。

ストーリーは悪のライバルペアとの死闘と並行して二人が全女に入団しビューティペア結成までの行きさつが描かれるオーソドックスなもの。
しかし、ジャッキー佐藤とマキ上田のバッグボーンや二人が友情を紡ぐ逸話は全部嘘だろうな、妙にドラマチックだから。ジャッキー佐藤なんて名家の令嬢になってるし笑
テイストとしてはドキュメンタリーと謳ったフィクション、『プロレススーパースター列伝』みたいな感じ笑
こういう大袈裟に呂敷広げた無駄に熱く劇的なドラマは東映の得意とするところなんで、70年代東映プログラムピクチャーが好きなおれは楽しめた。監督が『不良番長』シリーズの内藤誠だから荒唐無稽な演出がうまいんだよ。
この内藤監督の作風とビューティーペアの二人の清々しいまでの棒読みセリフとわざとらしい演技がハマっていて独特のおもしろさを醸し出してる。
長身痩躯でボーイッシュなジャッキー佐藤がセーラー服姿で棒読みセリフで町の不良と乱闘するシーンは下手な演技と本職だけあってシャープでパワフルなアクションのギャップがとてもおもしろい笑

本当の試合や熱狂する観客の姿もあって、当時のビューティーペアの人気の凄さが窺える。
ファンのほとんどティーン前後の女の子で、後に続く女子プロブームの下地はビューティーペアが作ったものだということがわかる。

これ、何で観たかったというと、おれはジャッキー佐藤を観たことあるからなんだよ。
まだ5才ぐらいの時に地元で全女の興行があって、プロレス好きな父に連れられて行った。
もうビューティーペアは解散してジャッキー佐藤がメインイベンターだったけど、その人気は凄まじく、ファンの女の子達(当時のおれから見たらお姉様達だが)が熱狂というより発狂に近いぐらいのテンションで歓声を発しカラーテープを投げ込みリングが瞬く間にカラーテープまみれになったのをよく覚えている。
でも、試合内容とかまったく覚えてないんだよ。この試合の前におれは会場で父とはぐれて迷子になってしまい、ミゼットプロレスラーのリトル・フランキー選手に保護してもらったんだよ。その時、子供だったもんでその特徴的な短躯と風貌が怖くてギャン泣きして暴れてしまった。前座の試合のミゼットプロレス観てた時から普段見たことがない姿の人達に軽く恐怖感を持ってたとこに、さっきまでリングにいた、その怖い風貌の人に声をかけられ、本当に失礼なことに怯えまくってしまった。
そんなおれに手を焼きながらもフランキーさんは優しく接してくれてアナウンスをかけてもらい父と再会できた。
その事が鮮烈に記憶に残って、後のことは本当に臼ぼんやりしてるんだ笑
フランキーさん、マジでいい人だったな。

そんな思い出があるからミゼットプロレスラーも出演してないかと期待して観たけど、残念ながら誰一人として出ていなかった笑
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