イライライジャ

保護なき純潔のイライライジャのレビュー・感想・評価

保護なき純潔(1968年製作の映画)
3.6
1942年ナチ占領下で製作した為裁かれてしまい映画史に残されてない、ユーゴスラビア初のトーキー映画であり幻の映画である『保護なき純潔』についてのドキュメンタリー。
40年代にしてヌーヴェルヴァーグを先駆けた手法を用いたことにマカヴェイエフは感銘を受け、当時のキャストやクルーに語ってもらう。

アクロバット師ドラゴリューブ・アレクシッチによるミュージカル調の前衛的な自己賛美映画。確かにこれは凄い映像…。そして面白い。
歯だけで飛行機にぶら下がってたり、筋肉をひたすら見せてくる歌。女に囲まれて自らスターと謳うラジニカーントみたいな奴がこんな時代にいたなんて。
愛の歌と思いきや「鋼の筋肉が〜」と自分を褒め出すミュージカルなど爆笑もの。
でも何が凄いって映像魔術が只者ではない。瞬間的に一部がカラーになったり、画面がピンク調やセピア調やモノクロなど予測できない変化をしていく。正直現代でもこれは評価されるほどアート性が高い。

現在(と言っても60年代だが)のインタビューシーンでもアレクシッチが歯だけで飛行機ぶら下がるパフォーマンス見せてくれるけどそれがまたシュール。
ドキュメンタリーのインタビュー中にミュージカル始まるってのも新しい。