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ガルシアの首のArxのレビュー・感想・評価

ガルシアの首(1974年製作の映画)
3.7
キレキレの銃撃シーンを除いては、全体的に弛緩したムードで進むが(「戦争のはらわた」もそんな感じなので作家性なのか)、この映画ではストーリーと相俟って良い効果をあげているように感じた。

何しろ主人公達は夢を叶えようとする若いカップルではなく、慎ましく生きていくために死者の墓を掘り起こさなければならないほど追い込まれたオッサンとおばさんなのだ。墓に着くまでは愛する人もいて一縷の希望があるが、彼女が殺されてからは(ご丁寧に土に埋められた上で)”生きる屍”として死んだ男の頭と奇妙な友情を結びさえする。

荒涼としたメキシコの風景の中、目の前にある死へ嫌でもジリジリと近づいていく感覚、ここではそれはサスペンスとしてでなく、運命論的に不可避なものとして提示される。(そしてラスト、その時が来た瞬間の呆気なさもすごい)
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