イチロヲ

古城の亡霊のイチロヲのレビュー・感想・評価

古城の亡霊(1963年製作の映画)
3.5
人里離れた海岸地域に迷い込んだ騎兵隊の青年(ジャック・ニコルソン)が、美しい娘の亡霊を追いかけるうちに、怪しげな城主(ボリス・カーロフ)が隠居している古城へと辿り着く。いわくつきの古城を舞台にしている、ホーンテッド系のホラー映画。

ボリス・カーロフ御大の契約満了が差し迫る中、前作「忍者と悪女」のセットを流用することにより、わずか2日間の突貫作業で製作された作品。若かりし頃のジャック・ニコルソンが主役と雑用を兼任しており、新人時代のコッポラが第2班監督を務めている。

美しい亡霊にときめいた将校が、自身が犯した罪に苦しめられている城主と接触しながら、亡霊の正体を明かそうとする。後出しジャンケン在りきの凡庸なシナリオ展開だが、恐怖絵画を模したような映像作りにハッとさせられる。

有能な若手を育成しつつ、低予算で無難な作品を仕上げる、コーマン流映画術の結晶的作品。「本作がなければ、後のメジャー作品は生まれなかったかも知れない」という「if」を念頭に置きながら鑑賞すると、趣が深くなる。
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