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古城の亡霊のhorahukiのレビュー・感想・評価

古城の亡霊(1963年製作の映画)
3.6
ニコルソン×コッポラ×コーマンの豪華布陣!

Amazonプライムで配信中のジャックニコルソン主演古城ホラー。DVD解説の水野晴郎大先生によると「ホラー映画の原点」らしい。どういう点で原点なのかはサッパリわかりませんが、これまた水野晴郎大先生によると『忍者と悪女』のセットを利用して2日で本作は製作されたらしい!流石のロジャーコーマン!

Amazonプライムがクソ画質だったからDVDで見たのだけど、そっちもクソ画質で笑った😂『忍者と悪女』と同じセットなのに、クソ画質のせいで(おかげで?)ほぼ別物みたく新鮮な気持ちで見られた🤣後世に発売されるディスクとかVODの画質込みで差別化図るとか、流石のロジャーコーマン!!

1800年代初頭が舞台。フランス連隊からはぐれた主人公(ニコルソン)が見知らぬ土地の浜辺で美女に出会う。でも村人のババアは、そんな美女なんて存在しないと言う。ババアの元で働く口が聞けないはずの男が「その女は男爵の城にいるから救ってほしい」とこっそり教えてくれたから行ってみると、窓から見下ろす例の美女が!でも住人である男爵(カーロフ)と使用人は、そんな美女なんて居ないという。美女はいるもん!と譲らない主人公は、他人の家なのにズケズケと荒らし回る…しかも謎に高圧的😱これもうホームインベージョンスリラーじゃん!

狂う方位磁石、焼けつくような太陽と圧倒的低画質が蜃気楼のような空気感を醸し出し、その中で主人公が気を失うことを起点としてスタートする本作は、それこそ蜃気楼の向こう側へと足を踏み入れるかのような「幻想世界」の始まりを告げる。現実から隔てられた幻想世界で繰り広げられるのは、文字通り現実からかけ離れたゴシックホラー。

ポーシリーズを撮っていた時期のコーマンだけあって、チープながらも地下という空間の扱い方、その奥に配置された礼拝堂、海(水)の象徴性等々、的確に各モチーフに意図を込めていくあたり、即席とは思えないクオリティ。海からやってきた彼女を纏わせたヒロインと主人公の関係性なんて、『ライトハウス』でエガース監督が人魚と灯台に託したもの(の一部)と限りなく近いことをやってる。

しかも何故か無駄にシナリオが練られていて、単純なゴシックホラーに終わらない無情感もあって意外にも楽しめた!海からやってきた…のくだり、男爵の真実を含めて、この頃のコーマン作品ってほんと『血ぬられた墓標』からめちゃくちゃ影響受けてるのがわかる。即席でここまでやっちゃうんだから、う〜んこれは流石のロジャーコーマン!!!
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