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古城の亡霊のくりふのレビュー・感想・評価

古城の亡霊(1963年製作の映画)
3.0
【ゆるいが熱いコーマン】

アマプラで見つけた珍コーマン。自分で監督している、むきだしコーマン。

なんでも、一本撮り終えたボリス・カーロフの契約があと3日残っているので、そのまま同じ、古城セット使ってもう一本撮っちゃったとか。まるで3Pコーマン。(←イミフ)

まあ、穴だらけのコーマン映画ですが、すぐやるコーマンでここまでぶっこみ、フィニッシュさせるとは器がでかい。巨名器コーマン。延々作り続け、公開後も別の版リリースするような悪あがき監督は、このやりマンぶりを見習うべきだ。たかが映画じゃないか。

作中の台詞からだと1806年が舞台。隊からはぐれたフランス兵が、海辺で謎の美女と出逢うが、彼女は古城で暮らす男爵の元で、死んだはずの…。

オハナシは、曇りときどき迷走しますが、この美女の謎解き一点に集中されわかり易く、そこが知りたくなったら一応、最後まで引っ張られます。ゼンゼン怖くはないけどね。

男爵役、ボリス・カーロフの大時代的演技は、芸として見応えあるし、物語に嵌っている。対する兵士役が若き日のジャック・ニコルソン(髪あり)。役柄がそうなんだけど、ふてぶてしさはこの頃からそうなんだね。まあ、その強引な性格が、物語を引っ張るわけですが。

美女役はサンドラ・ナイト。殆ど突っ立ってるだけですが、黒髪のクラシック・ビューティーとして光る…と断言したいですが、VHS3回ダビングしました的画質だったので、ちょっと怪しいです。本作がきっかけ?で、ニコルソン(髪あり)と結婚したそうですね。

美女は彼女のみ。脱衣率はゼロですが、かろうじて、デコルテ・エクスプロイテーション映画と見えなくもないです。ビバこの時代のコスの胸元。

オープニングが静止画アニメで始まり、むしろ鮮度あってびっくり。ココが一番コワイ処だった。スタッフ名にコッポラとモンテ・ヘルマンを発見。ボグダノヴィッチもこき使われていたらしいが、名前はなかったな。サンドラ嬢の汗拭き係とかだと…いいなあ。

昔々、自分が子供の頃は、こうしたゆるホラゆるサスが、昼下がりの東京12チャンネルでよく、垂れ流されていたもの。でも、いま見るとかえって、新鮮だったりもするのでした。

<2022.6.15記>
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