けーはち

マジンガーZ対暗黒大将軍のけーはちのレビュー・感想・評価

マジンガーZ対暗黒大将軍(1974年製作の映画)
3.5
例えばディケイド以降の仮面ライダーでは毎年夏の劇場版に次年度ライダーが客演し「新ヒーローが現ヒーローのピンチに颯爽と登場する」という類型を見せるが、本作はその型を作った大先輩。マジンガーZの引退、グレートマジンガーの顔見世としての劇場版。そもそも続編という概念がない当時のアニメ界において大好評だったマジンガーの引き継ぎをどう行うかの試金石として出してきた力作だと言える。狂ったように明滅するミラーボールでTVシリーズ終了後の登場人物らが戦いに明け暮れた青春を取り戻す姿を表し、その光から視点が切り替わって世界の主要都市を破滅に追い込む各種怪獣映画のオマージュを織り込んだ新しい敵組織の戦闘獣の描写へ移る演出は非常に力強く精緻。兜甲児の作画も濃い目のシリアス劇画調になり、主役メカのマジンガーが連戦に次ぐ連戦で翼は折れ武器や装甲は剥がれ、朽ち果てていく悲惨な様子、そして真打ちニューヒーローの登場を鮮烈に印象づける。ヒーロー交代劇を興業として演り遂げたグレートな劇場版だ。