93年公開パトレイバー劇場版第2作。
当時の冷戦終結とソ連崩壊、湾岸戦争などを背景とした社会情勢と日本が目を背け続けてきた虚妄の平和をテーマに描かれている。
政治や社会に対する、複雑なテーマの部分や細かい設定での説明はかなり丁寧にされている一方、心緒や雰囲気をセリフで説明するのではなく、風景や人物の表情で物語っていく場面も多く、このあたりのバランス感覚は本当に見事である。
そしてパトレイバーシリーズとしての事前情報や知識はそれほど必要とせず、本作品のみでも完結できるのでシリーズ初見でも入りやすい。できれば先に劇場版第一作目を見ておくと細かい設定などはほぼ理解できる。
欺瞞に満ちた平和から目をそらし続ける日本人、平和について改めて考えるきっかけを提示してくれる社会派ドラマとしても秀逸。
さらに作中の登場人物、人間関係、空気感の描き方は人間、日本人に対する洞察力の高さを伺える。
全体を通してシリアスな雰囲気に、パトレイバーならではのコミカルなキャラクター。このあたりの塩梅も堅苦しくなりがちなテーマを柔和にさせてくれるので最後まで飽きずに見ることができる。
公開から30年近く経つが、年に一度は必ず見返してしまう。
