のほほんさん

エクソシスト/ディレクターズ・カット版ののほほんさんのレビュー・感想・評価

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初見時(およそ20年前)にも思ったことではあるが、怖いのか?と言われると少し違うのかな、と。キリスト教の、しかもカトリックが身近にあったらもっと感覚的に恐怖を感じるのだろうか?
とはいえ、悪魔祓いのシーンは非常な緊張感と迫力が漲っていた。音楽が一切流れない。しかも場所を狭い一部屋に限定された中での闘い。


そのシーンで用いられる法衣や聖水、聖書などは、まるでカードバトルのアイテムのように象徴的なものであるように感じた。
いや、そもそもキリスト教と悪魔という、それぞれ名前をつけられて形として表されるものの対立そのものが象徴と象徴のぶつかり合いであり、悪魔祓いはその闘いを視覚化したものに過ぎないのだろう。


その裏には精神医学の世界から信仰の道へ入り、そして母の喪失から信仰を失ったカラス神父の精神の闘いがある。
事実リーガンに取り憑いた悪魔はメリル神父に対しては向き合おうとせず、カラス神父にのみ揺さぶりをかけてくる。


様々な方面からの医学的アプローチを試した末にショック療法としてエクソシズムが提案されるのもまた興味深い。
「科学によって滅ぼされた」悪魔が、同じく「科学によって滅ぼされた」悪魔祓いを呼び覚ます。信仰は科学とも対立構造を持っている。
だからだろう、あんなに身体張ってるけどリーガンはあくまでも物語の触媒。彼女に悪魔が取り憑いた理由なんてどうでも良いし、なんかえらく唐突に悪魔方面の展開になったなあと感じた。


悪魔の言葉が実は逆回しの英語だったり、それを解き明かす部屋にはTASUKETE!の文字(笑)
それと、あんなことになってるにも関わらず愚痴1つ言わず最後まで仕えてくれる使用人さん達、すげえプロ根性ですよね。


捜査ついでにちゃっかりエレン·バースティンからサインを貰ったり、何かと誰かを映画に誘ってフラれるお茶目刑事がリー·J·コッブ。デルボスケ監督に似ていた。


リメイクが公開控えてますが、どんなんになるんでしょうね?