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エクソシスト/ディレクターズ・カット版のhasseのレビュー・感想・評価

3.9
演出4
演技4
脚本3
撮影5
音楽4
照明4
インプレッション3

全編132分(ディレクターズカット版)のうち、冒頭2~30分経ってやっと最初のホラー(リーガンのベッドが跳ねる)が発生する。それまでは屋根裏部屋の物音がするくらい。相当の尺をメリン神父の発掘調査、クリス&リーガンの日常、カラス神父&母親の日常に費やしている。

一方、ホラーがひとたび始まれば、ストーリーは一気にテンポアップする。カラス神父の母親は精神病院に入り、死ぬ。リーガンの形相がいつの間にか悪魔的な醜悪さに変貌する。いくつかの段階をすっ飛ばして見せることで、ストーリーに歪な緩急をもたらしている。(歪な、というのは下手くそなということではなく、視聴者の心理に不安や違和を与える効果を持った、という意味だ)

いくつかのカットも非常に練られた構成のものがある。クリスがカラス神父に助けを求める橋の上のシーン。中央に二人が立って配置され、そこに向かって歩いてくる/走ってくるエキストラが数名。何人かのシルエットが橋の中央地点で同時に重なりあいそうになる。あまり他に例を見ないカットに、不穏さを感じてしまう。

有名すぎる悪魔払いのシーンでは、もはやリーガンの面影がないせいか、エクソシストVS悪魔パズズの対決色が強く、リーガンという12歳の幼い女の子への憐憫を束の間忘れてしまう。
しかし、中盤の医療シーンでは、脳神経から異常を取り払おうとするさまざまな医療機器に苦しめられるリーガンを、見ている側も苦しくなる。
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