mare

ぼくの小さな恋人たちのmareのレビュー・感想・評価

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)
4.0
ユスターシュの少年時代、同情すら拒むような過去の自分を投影しているようだ。辺りの煌びやかな自然や陽気とは対照的にイメージを裏切りどうしようもなく暗い作風で戸惑う。この無味無臭な空気感がママと娼婦では怠惰だとすれば、この映画では諦観だ。この暗転を繰り返す負の語り口が少し先の未来にすら期待していない諦めを表現しているようで心が重くなる。悟り曇った少年の眼差しからは人生を肯定しようとする気力はない。当たり前の学びが奪われ、無償でやりたくもないことをやり、愛情と呼べるものは見渡したところでどこにもないのだ。彼にとって青春とは、友だちとは、恋人とは。正直すぎる芽吹く想いは誰にも止められない。彼女を知ったとき彼は世界が開けた気がした。青々しい、瑞々しい、痛々しい。
mare

mare