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ぼくの小さな恋人たちのhorahukiのレビュー・感想・評価

ぼくの小さな恋人たち(1974年製作の映画)
4.0
記録です。

ユスターシュ作品は常に二項対立がある的な解説がパンフレットに書いてあった。当然地理的・進路的もあるけれど、大と小も映画を通して対比が行われているように感じた。主人公が(意味もなく)暴力を振るうのは体の大きな友人であって、自身が「捕まえた(逃した)」籠の中の鳥は小さく、一方でハシビロコウのような大きな(囚われの)鳥に対面する、地元では自身より小さな子たちとつるみ、引越し先ではみんなが自身より大きい。そして職場を含めた大人たちとのやり取りやクライマックスのナンパでの対比。これは性的な目覚めともリンクしており、教会での背後からの押し当て、真っ暗な劇場での背後からのキス、歌唱隊を前にした下からの手と、ほとんどが自身に対する小ささ(心的・身体的)に起因した自己肯定感の欠如故に自身を相手に視認させない安全領域からある種の仮面のもとに行われている。それ故にクライマックスの大きいお友達との攻防と真正面からのキスは、剥ぎ取られた仮面とともに正面に据えて「見ていたい」とのセリフが刺さる。ただそれが道徳的に正当な成長という馬鹿馬鹿しさに堕ちるわけではなく、『わるい仲間』や『サンタクロースの眼は青い』のような空気感を醸し出しているのが若々しさ故のエネルギッシュで欲望溢れる目覚めと言った感じで凄く良かった。ユスターシュ映画祭、代表作の『ママと娼婦』行けなかったのが残念…😭

見たのは4K版なのだけど、スクショみたいなジャケ写あんまり好きじゃないのでこっちで😂
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