【純粋無垢】
前作『ママと娼婦』がヘビーだっただけに本作は軽やかな「大人の階段登る」思春期の少年の成長譚に仕上がっている。意味深なタイトルはランボーの詩から拝借している。
やはり『ママと娼婦』同様に愛想のない雰囲気で、キッチリ敷き詰められた画面造形はどこかロベール・ブレッソン風である。
「居場所がない」「つまらない」と感じる思春期の少年が家出して悪い仲間たちと逃避行するプロットなんだが、中盤からロード・ムービー的な展開を見せトリュフォーの『大人は判ってくれない』の暗黒啓蒙版みたいな趣きに。
全体的に暗いような明るいような?不思議な作品となった。
映画の冒頭で流れるシャンソンもお洒落で良かった。カラー映像になって少しだけ世界を肯定的に捉えようとするユスターシュ監督の意志が伝わった。『ママと娼婦』同様に嫌らしい主人公なので、ある意味人を選ぶ映画かも知れないが…。取り敢えず観れて良かった。