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浮草物語のhkのネタバレレビュー・内容・結末

浮草物語(1934年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

"世は回り持ち"。浮草のように一つところにとどまることのない人生。

1934年。日本人は貧しく、堅気でない商売人も多かったのだろう。

その時代のひとつの"家族"を描き出す。

旅役者一座の座長喜八は、離れて暮らす息子には、身を明かさず、堅気の仕事についてほしいと願い、仕送りを欠かさない。

これが当時、子を持つ親が自分のように苦労してほしくないと願うひとつの形だったのではないか。

"親子三人で暮らそうよ"。おつねの言葉も沁みる。長い間息子とふたりで懸命に暮らしてきたおつねが、心の奥にしまっていたであろう言葉。

やはりそうはならなかったが、喜八はおたかと新たな地、下諏訪に向かう。汽車の中で一杯やりながら、暗さはない。たんたんと前を向いて進んでいく。

おつねは、持ち前の明るさと前向きさで、おときを新しい家族に迎え入れ、三人で店を繁盛させていくに違いない。
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