ぶん

時をかける少女のぶんのレビュー・感想・評価

時をかける少女(2006年製作の映画)
5.0
ーーひと夏の空を見ていたーー

春に本作の背景美術をつとめられた山本二三(にぞう)さんの美術館へ行って来ました。

彼は一生を使って様々なアニメーションの空と雲を描き続けてきた人物。

背景一つにしても監督やスタッフと幾度も打ち合わせを行い、締切ギリギリまでできる限り高い質になるように時間とせめぎ合い創り上げる。。
そんな目線で見れば、アニメーションへ関わる人々へ労いの気持ちが生まれます。

美術館には故郷・福江島の風景画も多く展示され、親しい風景を切り取りありのままの故郷を想う丁寧な表現に、ワタシの心も浄化されていきました。

帰り際、来訪者へ挨拶看板が。
(一部抜粋)


『…芸術は衣食住のような日常の必需品ではないかも知れませんが、辛いときに大切な風景や想い出に励まされたり、気持ちを温められたりしたことは多くの方が経験したことでしょう。

それは生きるための心の力なのかも知れません。

たとえ絵や写真の技術がなかったとしても、誰もが心の中に風景を持つことができると思います。

人は誰でも語り尽くせぬ背景・風景を持ち、それらに支えられて生きているのです。

「いいお天気ですね」とか「花が咲きましたね」とか何気ない挨拶を交わす時ですら、さり気なく風景を共有しているようにも思います。

皆様の背中に広がる風景が、これからも喜びで語り尽くせぬ奥深い彩でありますよう、心から願っております』


美術館を後にして👣
どんな仕事も極めれば脇役じゃない主役級だ!
そんなふうに受け止めたら、なんだか背中を押してもらったような感覚にさえなっていました。

二三さんは若い時、なぜこんなにも同じ空雲ばかり書かせるのかと背景製作に嫌気がさした時期もあったそうです。

どんな仕事もその仕事が担う重要性・真の意味に気付くのは、ずっと後になってからなのでしょう。

本作をご覧になったら、きっと【二三雲】の良さがわかっていただけると思います😌
ぶん

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