こなつ

リトル・ダンサーのこなつのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.0
スティーブン・ダルドリーの初映画監督作品。この作品以降映画化された監督の作品は、全て高い評価を得ている。2000人参加のオーディションで主役ビリーを勝ち取ったジェイミー・ベルの演技は子役ながら圧巻で、とても素敵な物語だった。

1984年、イギリス北部の炭坑町ダラム。母親を亡くしたばかりの11歳の少年ビリー(ジェイミー・ベル)は、父(ゲイリー・ルイス)の命令でボクシングを習っていた。ある日、ボクシング教室のホールに移ってきたバレエ教室に興味を持つ。そしてふとしたことからレッスンに飛び入りしたビリーは、次第にバレエに夢中になっていく。

父親は質実剛健な炭鉱夫、組合のリーダーをしている兄トニー(ジェイミー・ドレイヴン)「男がバレエなんて、、」という気風の中、隠しながら練習をしていたもののやはりバレてしまう。それでも夢を諦めない少年の一途さは胸を打つ。ビリーは元々ボクシングやサッカーよりも、母の形見のピアノを弾いたり、音楽を聞きながら踊るのが好きだった。バレエのウィルキュソン先生も、そんなビリーに素質があることを見抜き、ロンドンのロイヤルバレエ団の入団を勧めていた。

最後に父が強く願ったことは、ビリーには未来がある、ビリーの夢を叶えてやりたい、不器用ながらも息子を想う深い愛には泣ける。

1988年の冬、25歳のビリーがロイヤルバレエ団のトップダンサーとなり、主役で「白鳥の湖」を踊る会場には、父と兄、そして昔、自分はゲイだとそっと打ち明けた親友のマイケルがいた。舞台の袖に立つビリーの逞しい背中、凛々しい横顔、トップダンサー、アダム・クーパーが成長したビリーを演じ、たった一瞬だがそのパフォーマンスに心震えた。
「ビリー、こんなに立派になって、、」 すっかりそんな気持ちになってしまうほど、心からビリーの夢を応援できる感動作だった。
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