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リトル・ダンサーのhynonのレビュー・感想・評価

リトル・ダンサー(2000年製作の映画)
4.5
最近、雨のなか裸足でバレエを踊るナイジェリアの少年の動画が話題になった。
それを見てこの映画を思い出した。

「バレエは女の子のものだと思われているんです」
「踊る僕を見てもらいたくて。僕を見れば男のバレエダンサーがいるって分かってもらえるから。」
(マドゥ・メソマ・アンソニー、11歳)
踊るのが大好きで、ダンサーになりたいと言う。
そしてそれを見守り支える、先生と母親。

この映画の主人公ビリーと重なる。
理由なんてない。ただただダンスが好き。踊っていると幸せ。誰が何と言おうと。
その真っ直ぐな想いが伝わってきて、もうそれだけで泣いてしまう。

周囲の人たちの存在も大きい。
家族。先生。「マイノリティであること」を共有する友達。

お父さんの想い。
子供には幸せになってほしい。
でも親と子供は別の人間だから、価値観も生き方も違う。
親が考える「子供の幸せ」が「子供自身にとっての幸せ」とは限らない。

「この子が踊っていると私はいつもうれしくて」
「どの子供にも才能はありますが、親はなかなかそれを見つけてあげられない」
(アンソニー君の母親)

ストーリーも展開も王道で、特にひねりはない。本当に普通。この映画に関してはそこがいい。

ほんの数秒だけど、バレエダンサーのアダム・クーパーが特別出演しているシーン。
最高じゃないですか。
このワンシーンにさまざまな想いや十数年の歳月が集約されていて。

エンドロールでは涙が止まらなかった。
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