正直なところ、笑えない。
笑えないくらいの、中年男三人の度を超えた馬鹿騒ぎ。
それなのに、その笑えないどんちゃん騒ぎをこれほど長い尺で延々と、真面目に撮り続ける(演じ続ける)ジョン・カサヴェテスという人の狂気性に圧倒されて、ふっと笑ってしまうのだ。
アカペラ・カラオケ大会、徹夜で飲み続けた後のバスケ→水泳、仕事放り出してロンドンへ逃避行、闇雲にナンパしてそれぞれ相手と大モメしたり烈火の如く怒り出したり…
いつの間にか惰性に乗っかるしかなくなっていた人生のつまらなさに気づいた時、ここまで羽目を外して常軌の逸した行動を取ってみても、結局そこから脱出できない人間の哀しさ。
紆余曲折あってからのラスト、自分の子どもの元に帰ってきたシーンに、ただ感動するだけではない、なんとも言えない気持ちが湧き出る。
流石、インディペンデント映画の鬼才、ジョン・カサヴェテス。