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ストレンジ・デイズ/1999年12月31日のtakのレビュー・感想・評価

3.4
製作当時としては近未来の1999年の大晦日、ダンスミュージックと激しいロックをバックに繰り広げられるサスペンス。ジェームズ・キャメロン製作、元妻キャスリン・ビグローが監督した、迫力ある映像エンターテイメント。キャメロンは、新作を撮るたびに新たな撮影技術を工夫してきた人でもある。この作品でも激しい主観移動に対応できる撮影を行ったと聞く。それは、人間の五感を記録するメディアが劇中登場することも一因で、人間の視線で撮影される追体験シーンは、他の映画ではなかなか見られない場面だ。

その記録ディスクに、ある黒人指導者(これがラッパーというのが現代的)殺害の真相が記録されていた。レイフ・ファインズ扮する主人公はその謎をめぐる騒動に巻き込まれ、相棒の黒人女性と共に謎に迫るというお話。この相棒をアンジェラ・バセットが演じているのだが、これがキャメロン作品らしい強い女で実にカッコいい。

映像表現の大部分が主人公の目線、つまり白人側の視点で描かれている。黒人指導者の下で、マイノリティが勢いを持っている時代という描写は納得がいく。指導者殺害によって市民が憤っている状況は描かれるのだが、残念なのはアンジェラ・バセットが白人主人公の協力者にしか見えなかったこと。事件について憤りはのぞかせるけれど、観終わって残るイメージは、昔からのハリウッド映画的な白人の協力者としての黒人。白人目線ならこの映画は文句ないだろうが、黒人目線なら物足りなさ、いやそもそもエンターテイメントとして成立しうるのか?と思えた。

ビジュアル表現が魅力の映画だが、何より素晴らしいのは音楽。ニューエイジ系のフランスの音楽ユニット、ディープ・フォレストとピーター・ガブリエルがコラボした主題歌While The Earth Sleepが絶品。ダンスビートにピーターの叫びが乗る聴覚の快感。また、小悪魔ジュリエット・ルイスがボーカルのロックバンドも登場。どちらも収録されたお得なCD、当時買っておいてよかった。

96年の公開だが、95年末の試写会で幸運にも鑑賞できたラッキー。当時、ジュリエット・ルイス大好きだったので、ムフフな場面を主人公目線で見られたのもラッキー。
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