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TATTOO「刺青」ありのLODGEのレビュー・感想・評価

TATTOO「刺青」あり(1982年製作の映画)
4.0
ATG作品。
何よりもまず言いたいのは関根恵子が美人過ぎる!今までは映画「モテキ」の長澤まさみが人類史上一番美人と思っていたがそれに匹敵する。兎に角美しい。
後半の雨の中でスローモーションで唾を吐くシーンがあるのだが、普通は「汚ねっ!!」とそのままテレビの電源を切るが、彼女の場合は違う。美しい。綺麗なのだ。そりゃあ高橋伴明も惚れるわ!

更に音楽が兎に角カッコ良過ぎる!オープニングの大野克夫編曲の内田裕也の曲がカッコ良過ぎるだろ。。。イントロからシビれる。。。
宇崎竜童、阿木燿子コンビが作ったエンディングもめちゃくちゃ良い。
この辺のロックが好きなのでたまりませんね。

そして車!!
大名車「マツダコスモスポーツ」の次のモデル、コスモAP。しかも真っ赤なやつ。欲しい。
やっぱりこの70年代の日本車は流線形が素晴らしい。このアメ車をモロにサンプリングした感じがたまらない。
日本の旧車が高騰している今、これはもしや穴場なのでは?と思ったら500万円オーバー笑

と、本筋とは関係ない所をツラツラと書いてしまいましたが、、、笑

内容としては実際あった三菱銀行人質事件が元ネタ。

こう言う犯罪って「家庭環境が〜」とか言われているが正しくそう。
竹田明夫(宇崎竜童)も母親に甘やかされて育てられた様で自分の思い通りに行かないと直ぐに暴力を振るったりする。
父親にも暴力を振るう、とんでも無いゲス野郎。

挙句の果てには、惚れた彼氏持ちのホステスの三千代(関根恵子)に、嘘に嘘を塗り重ねて何とか自分のモノにする。その折角結婚?した美人な関根恵子にも暴力を振るう。許さん。

しかし、本来は生真面目で臆病で虚栄心が強くてイキっているマザコン。
刺青まで入れたがそれをチラつかせて脅したりと小物感が滲み出ている。そんな感じがとても宇崎竜童のあの雰囲気とマッチする。そんなに粗暴では無く女性を労ったり、実家に帰った時は母親の近所にお土産を渡したりと優しい一面もある。外面は好青年にも見える。更生したかに思われる。
恐らくそう言う所に三千代も騙されたのだろう。

「悪人がする善意は普通の人と比べて二乗する」

そんな持論があるのだがちょっとでも良い所があると物凄ーーーーく良いやつに見える。
映画を観ながら騙されないで〜と思った笑

そして、明夫は「30歳までにどデカい事を成し遂げる」「成し遂げないといけない」と言う強迫概念が強すぎる。義務感すら感じている様に見える。

30歳と言えば周りも結婚をして子供も出来て家も持って。といわゆる"普通の幸せな人生"のゴールに向かう岐路なのかもしれない。人生60年とすると。
しかし、20代でボーイやらのらりくらり女性のヒモをしていたりでは30歳になってもそのまんまに決まっている。
ボーイをやるのが悪いと言う訳ではなく、何の考えも無しに"とりあえずの日銭を稼ぐ"と言う考えではいくつになっても何をしても駄目だと思う。

そもそも「何かどデカい事を成し遂げる」と言う不明瞭な目標を掲げている時点で無理だろう。
「周りが」とか「世間体が」とかを気にして、と言うか気にし過ぎていてそう言う考えになるのは分からなくも無いがそんなに「何か」を成し遂げるのが重要な事なのか?「何を」したいか?を考えるのが重要では無いのか?

そんな事を明夫を見ながら思った。
別に「何かに」ならなくても良いし、何にも成し遂げる必要なんかない。
当時の時代背景とかもあるのかな?と考えつつも、いや、これはSNS全盛期の現代にも通づるなとも思った。

何をやるにも取っつき易く敷居が低くなり、各自が発信し易くなった現代。
「何者」かになりたがっている、ならなければいけないみたいな強迫概念が強い気がする。自分自身もそうならない様に気をつけよう。

ちなみに俳優陣、製作人が超豪華で本屋の原田芳雄も良かったし、正月早々海に突き落とされる大杉漣も良かったし、電気屋の植木等も良かったし、彫り師の泉谷しげるも良かった。のりお・よしおの2人のやりとりも笑った。

プロデューサーが井筒監督、助監督は周防正行監督と豪華。

ナンバーガールの向井さんもこの曲に影響されて「TATOOあり」と言う楽曲も作っている。

、、、、あれ?
こんだけレビュー書いたらもうスコア4.0じゃなくて5.0やん!!
めちゃくちゃ好きやん!!
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