ちゅんせ

TATTOO「刺青」ありのちゅんせのレビュー・感想・評価

TATTOO「刺青」あり(1982年製作の映画)
3.7
三菱銀行立てこもり人質事件の犯人である梅川昭美をモチーフにした作品。
予備知識なく観てたらラスト辺りであれ??この事件??と思って初めて気付いた。
事件自体を描いているのではなく、梅川昭美が事件に至るまでを描いている。
ろくでもない小さい男が"デカいことを"やってやる!と漠然とした野心だけは一丁前だとこうなってしまうのだなあと。
宇崎竜童の熱演もあって、この小物感がクセになる作品になっている。
山口組の田岡一雄組長狙撃事件で犯人としてボコられて惨殺された鳴海清の愛人と梅川の愛人が同一女性だったという新聞記事(真偽のほどは確かではない)を元にしていて、男と女の共依存な恋愛模様が物語の核となっている、恋人役の高橋恵子がこれまた熱演していて魔性の女としてのサゲマンぶりに説得力を持たせている。
監督はピンク映画で名を馳せた高橋判明。
一般映画としてはデビュー作となる。
『DOOR』や『光の雨』のようなジメっとした社会性を帯びた作品を後に生み出しているのを知っていると、本作も雰囲気的には通ずるものがあるなと思いながら観ていた。
なかなかに好きな部類の映画でした。
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