ダイナ

TATTOO「刺青」ありのダイナのレビュー・感想・評価

TATTOO「刺青」あり(1982年製作の映画)
3.8
実際に起きた銀行人質事件を題材とした作品。少年時代に強盗殺人を犯しそれについて反省の色無しの主人公はどう描いても好きにはなれない人物像ながら魅力的に見える理由には、演じる宇崎竜童の漢気溢れるヤカラ演技の凄みや読書家気質でクレー射撃の達人という意外な側面、どでかい事を虎視眈々と企みながら、女とうまくいかず、愛する母親の存在にプレッシャー(?)を感じるという人間味が垣間見える部分にあります。ドラッグ中毒かの如く床に散らばった袋ラーメンをバリボリと当てつけに貪る彼女の姿は迫真モノ。

題材といっても事件はほとんど描かれず、前日譚でほぼほぼ占められているためクライムドラマを期待してはいけません。事件に至るまでのヒューマンドラマを魅せてくるタイプです。四面楚歌の子供へ注ぐ愛情なんて部分には「母なる証明」で描かれていた痛烈な心情を思い起こされもします。題材のwikiのタイムラインがすごく詳細に記されており、立てこもり時の微細な出来事も取りこぼさず記録するという意気を感じました。
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