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アミスタッドのtorakoaのレビュー・感想・評価

アミスタッド(1997年製作の映画)
3.0
実話ベース。航海中に黒人達による反乱が起こったスペインのアミスタッド号をアメリカ沿岸で発見した米海軍将校だかと、スペイン商人と、スペイン女王がそれぞれ“積み荷”を所有物と主張し、捕らえられ奴隷として売買され船に乗せられていたアフリカ人達は自由を主張し、アメリカの法廷で争う話。多分。

ステラン出演作だしマシュー・マコノヒーも気になっていたし実話ベースものだし、法廷ものに、というよりスピーチ力に興味があるのでこれはと思い鑑賞。
スピルバーグの名前と作品名は何となく知っていたが作品はほとんど観たことがないので、映画好きの人からすれば間違ってる感想なんだろうけど
残虐シーンほか、もうちょっとタイトにしてもよかっただろうにと思うところがあり、あーこういう人なんだなあと。プライベートライアンでも思ったのだが、残虐ないし暴力的な描写に力入れ過ぎで一番撮りたいものがそういうものであって、テーマめいたものは後付の綺麗事みたいに感じさせてくるところがこの監督のちょっと厭味がある個性なんだなあと思った。

話はきれいにまとまってて、笑いも入れつつわかりやすい感動作らしくできてるので娯楽として特に文句のない出来だろうとは思う。
ただ、小綺麗にまとまりすぎてる感じや、色んな過剰さが話全体を嘘臭くしてしまって、絶対噓混ぜてるなと思ってしまうあたりがあんまり。
最高裁での元大統領の嘘臭くて芝居がかってるスピーチも何だかなーだったし、感動の押し売りめいた音楽も結構苦手。凄くわざとらしいなと思う演出や流れもあった。後で確認したら不必要な噓で美化しようとしたっぽいとこがあって、あーあーあー。
まあ不快感はそれほどでもなかったし、微かであっても救いや希望になった事例で大きな一歩だったのだろうなと感慨深く観終えたけど、うるさ型の黒人監督あたりが辛辣なコメントしてそうな感じはした。

ジャイモン・フンスーさん初見。物凄い美丈夫で、食糧事情悪そうだったようには思えないが、圧倒的存在感ある美貌で何か凄かった。何頭身あるんだ。ちょっと演出過剰、オーバーアクトに感じたけど多分監督のせいと見た。
マシュー・マコノヒーの弁護士役は決して善人の善意による申し出な訳ではなかったといった描き方なのはよかったように思う。演技も芝居じみてなくてよかった。

ステランの役は登場時は重要人物そうだったものの、うまく絡ませられなかったみたいな感じで尻すぼみになってしまっていた。モーガン・フリーマンの役を好印象にするために割食わされた感もあるが、そのモーガンの役も尻すぼみで御守渡される程の何かを為してた印象もなかったが。ステラン紳士衣装似合ってたし、喜びの表現とかかわいかったのでまあ。
二人の役が浅い感じがしたので、あんまり必要性を感じない場面をもう少し削って、その分彼らの人間性みたいなのを見せてくれたほうが深みが出たかもなと思った。
スペインの幼い女王の描写とか蛇足めいたものがチラホラあった気がする。ちなみにアンナ・パキン。
ラストでちょこっと出てくる南北戦争の場面が雑すぎて、えええー。うーん……そんなもんだったのかなー。

最初どこの配信で観たんだったか忘れたけどボカシが入ってて何だかなーだったので、レンタルDVDのほうがいいと思う。吹替入、英語字幕入、特典映像もあった記憶。BDは本編のみ。

「理由が……」「理由など!」で戸田奈津子だと気づいた。
「お言葉を返すようですが――刑事弁護士が必要なら――僕はここに来ません」(と言われステラン笑う)?????
吹替「でも失礼ですけどタパンさん、刑事専門の弁護士で勝てると本気でお思いですか?勝つ自信がなきゃ僕は売り込みゃしませんよ」

「今の私のために彼ら(祖先)は存在したのです」
吹替「祖先達の存在した証が今の自分なのだから」
だいぶニュアンス変わるなー。
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