ドリームワークス製作のスピルバーグ映画としては第一弾となる97年公開の歴史大作。
「シンドラーのリスト」に続く「目を背けたくなるけど忘れてはいけない史実」を扱った作品で、1839年に起こったアミスタッド号事件をほとんど事実に即した形で映画化しているとのこと。
黒人奴隷への非人道性が仮借なく描写される様は、スピルバーグの題材に対する確信が漲っていて堂々の貫禄が顕現。
司法制度や人権、差別問題への熱い訴えはどれも今の時代においても痛烈に響くパンチラインだらけ。そんな中アンソニー・ホプキンス演じる元大統領の議員兼弁護士、アダムズによって語られる「物語こそ人の心を動かす」との説法にはスピルバーグの映画作家としての矜持が感じられてさらにグッときました。
長尺のヘヴィな史実ベースドラマでありながら法廷もののフォーマットを利して結局面白く見せてしまう手練手管は早くも成熟の域。
「アメリカとは?」に向き合う国民作家としての道を示し始めた、地味ながら歯応えのある良作です。