漱石枕流

アミスタッドの漱石枕流のレビュー・感想・評価

アミスタッド(1997年製作の映画)
4.0
奴隷制度を擁護するキャラクターが登場すると、私はいつもこう質問したくなる。

「それなら、あなたが奴隷やってくださいよ。試しに私の農場で一週間、鞭打たれながら働いてみては? もちろん給料は出しませんし、労働中にあなたが怪我したり死んだりしても責任は取りませんけどね」

こう言ったら相手はまちがいなく怒るだろう。「ふざけるな!」と。

想像力のない人間に何を言っても無駄かもしれないが、自分のことに置き換えてものを考えることは大切だと思う。

中盤の奴隷船のシーンがものすごく不快でむかむかした。この船の名前がタイトルになっていて、スペイン語で〝友情〟の意だという。今の時代から見るとこれこそ「ふざけるな!」だ。

でも映画としてはとても惹きつけられた。監督がスピルバーグだという時点で外さないとわかっているから、安心できる。前半部分はすこし退屈に感じたが、後半の展開でそれを取り返した。

南北戦争前に、このような裁判が行われたというのは初めて知った。映画はほんとうに歴史の勉強になってありがたい。この種の映画は他にもあるが、本作はかなり印象深い作品になった。

[オリジナル音声+日本語字幕]2023/10/14 WOWOWシネマ(09/24録画)
漱石枕流

漱石枕流