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アミスタッドのsatchanのネタバレレビュー・内容・結末

アミスタッド(1997年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

好きなタイプの映画です。もう20年近く前の作品なんですね。アミスタッド号事件を知らなかったので、大変興味深い内容でした。奴隷船に乗せられたアフリカ人の1人シンケが拘束具を外して、船長たちを殺害する事件が起きるのですが、ニューヨーク沿岸に辿り着き、アメリカで裁判にかけられる物語です。スペインの領海内だと言うことで、奴隷船を返せという手紙がスペインから届くことに、不思議な感覚を覚えました。米西間にピンクニー条約なるものがあったのですね。スペインが権利を主張することも、アメリカ人が奴隷を奪おうとすることも、人を売買することが大前提にあるので、非常に残酷に映ります。

そんな中、おかしいんじゃないか?と異を唱える弁護士がこの時代にいたことが素晴らしいところです。マシュー・マコノヒーやキウェテル・イジョホーが、こんなに前の作品に出演していたとは、知りませんでした。アフリカ人の母語メンデ語で、数字を10まで覚えて唱え、通訳できる人を探す努力には感銘を受けます。今ならスマホで翻訳してもらえますよね。裁判の時に出てきたセリフで、シンケたちは「アメリカ生まれじゃないから、奴隷ではない」という法律は興味深いところでした。

最近でも、人身売買が明るみに出ると困る時に、船で運ばれてきた子供たちを海に投げ捨てるという記事をも見かけました。映画では、奴隷に石をつけて、海に沈めるシーンがありましたが、本当に残酷。一体、何をしているのか、理解できませんでした。海に沈んでいく様子を見て、初めて理解し、吐き気がしました。やっとの思いで、裁判で勝訴して、アフリカへ帰ることができたのに、村に帰っても、家族がいなかったことは本当に残念です。人間は何という残酷なことをしてきたのか、考えさせられます。人間という罪深い生き物の歴史でした。
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