けんたろう

炎と女のけんたろうのレビュー・感想・評価

炎と女(1967年製作の映画)
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お、岡田茉莉子さん!


うわあ面白い!

子を産むことが出来る女と違うて、男は本能的に女を信用するしかない。或いは、お前は俺れの子だと自分に云ひ聞かするしかない。
其の子は一体誰れの子か。男の執着。面白い。
人工授精をモチイフにすることで、其の導入が自然に成つてゐるのも亦た好い。

林、車、烏、人。遠景と近景。光りと翳り。人物配置、然うして顔の向き。引きも寄りも整然と決まりてをり、非常に心惹かる。カメラワアクも、気持ちが悪くて気持ちよい。あゝ楽し。
ミステリアスで不気味なる劇伴や、時系列どほりには進まぬ語り口も好い。此処までくると、何んだか『去年マリエンバートで』に似た雰囲気を感ず。然うして其の前衛的なる表現には、強く惹きつけらる。
役者陣も魅力的。色気たつぷり岡田茉莉子さん。殆ど狂気的なる木村功さん。堪らないものが有る。

初めて観る喜重作品。岡田茉莉子さんに引き寄せられて観賞した私し。此の面白さは、全く想像だにせなかつた。観てよかつたぜ。