Moriuchi

フローレスのMoriuchiのネタバレレビュー・内容・結末

フローレス(1999年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

Amazonプライムで鑑賞。
25年前の作品で、主演はロバート・デ・ニーロ。
デ・ニーロが難しい役どころ(脳卒中で半身麻痺と言語障害を負った男)を見事に演じています。共演のフィリップ・シーモア・ホフマンの芝居もそれはもう見事です。
彼らの名演だけでも観る価値ありですが、シナリオが実に素晴らしいです。
「絆」なんてものは簡単に出来上がるものではありません。簡単に成立した「絆」やら「友情」やら何やらがあるとすれば、それらは所詮はフェイク。愛想笑いの薄皮一枚向こうに在るのは、凡庸な利己心および虚栄心。本作の脚本家はそれを知っているから、シナリオは徹底的に刺々しく生々しいです。
デ・ニーロとホフマンの関係について言えば、お互いがお互いを受け入れ、リアルな友情が屹立する前には、己の恥と負の歴史を語り合う時間があり、罵り合う時間さえもがありました。
お互いの「かっこいいところ」だけを見せあって(安っぽく)「いいね」を与え合うような(しょーもない)関係とは真逆の、良くも悪くもリアルで歪で複雑な人間模様。山も谷も越えた先にしか本物の光も喜びも見えてこない、という人間の真実。それをしっかりと描いたのが本作です。
紛うことなき名作。ただしエンドロールバックのレッスンシーンは冗漫。要らなかったと思います。
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