なにかとひどい目に遭いがちな京マチ子が特に壮絶な葛藤をする映画だったと思う。前半と後半の表情の変化、男を返り討ちにしたときに振り返った時の顔の怖さと言ったら。自分のことをちゃんと自分で決められるヒロイン。鶴田浩二もギャングと任侠の色がつく前の作品ではこれが一番カッコいいと思う。殺陣はリアリティ重視と見えてあまりカッコよくないが、そこがいい。序盤にわざわざ字幕に出てきた和歌の文句が後半に効いてくるのも感動を誘う。
純正ビスタビジョンの効果はBD上映ではまだフルに楽しめていないような気がしたが、遠くからいくつもの船団が迫ってくるロングショットは迫力があった。
蛇足だが音楽についても一応。賊たちの進軍場面で、「ゴジラの恐怖」の原曲らしいフレーズが出てきた。京マチ子が山を追放される場面では「キングコング輸送作戦」の原曲らしいフレーズも。
