サマセット7

トップガンのサマセット7のレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
3.6
監督は「トゥルー・ロマンス」「クリムゾンタイド」のトニー・スコット。
主演は「ミッション:インポッシブル」シリーズ、「コラテラル」のトム・クルーズ。

[あらすじ]
アメリカ海軍所属のピート・"マーヴェリック"・ミッチェル大尉(トム・クルーズ)は、卓越した戦闘機パイロットの腕を買われ、相棒のレーダー要員グース(アンソニー・エドワーズ)と共に、エリート中のエリートパイロットが集う航空戦訓練学校、通称トップガンの訓練生に選抜される。
そこは伝説的パイロットが教官となり、選り抜きのパイロットたちが鎬を削る場所!!!
マーヴェリックの挑戦と恋の日々が始まった!!!

[情報]
現在もアクションスターとして最前線を走り続けるトム・クルーズの出世作として知られる作品。
その他、ヴァル・キルマー、アンソニー・エドワーズ、メグ・ライアン、ティム・ロビンスら、後に活躍する俳優たちの若手時代の姿を見ることができる。

監督のトニー・スコットは、かのリドリー・スコット監督の実弟。
今作の大ヒットにより、メジャー監督の仲間入りを果たした。

今作はアメリカ海軍の全面協力のもと、ほぼ全ての航空機のシーンが実機で撮影されている(撃墜シーンは模型)。
操縦中の俳優は、実物の戦闘機のコクピットを再利用した実物大のセットに乗ってスタジオで撮影されている。

今作の大きな特徴は、サウンドトラックの充実にある。
80年代を代表するプロデューサーであるジェリー・ブラッカイマーとドン・シンプソンは、「フラッシュダンス」の成功で手応えを掴み、今作でもロックやポップミュージックを全面的にBGMに採用。
さながら、ミュージック・ビデオのような映像が頻出する。
特にケニー・ロギンスの歌うテーマ曲「デンジャー・ゾーン」は有名。

ジャンルは戦闘機のドッグファイトをメインとするアクション・ドラマ。
軍隊もの、学校もの、恋愛といった要素を含む。

1500万ドルの製作費で作られ、3億5000万ドルを超える興収を叩き出した。
1986年トップのメガヒットである。
今作の公開後、アメリカ海軍への志願者が激増したことで知られる。

批評家の評価は分かれている。
一般観客からは、ジャンル映画なりの好評を受けた。
挿入歌「愛は吐息のように」でアカデミー賞歌曲賞を受賞している。

[見どころ]
実機を用いた、迫真の戦闘機の飛行、接近戦描写!!本物のリアリティ!!!
若き日のピチピチしたトム・クルーズ!!!
80年代全開のサウンドトラック!!!

[感想]
ドラマとしては平凡かと思う。
だが、それを構成する音楽、役者、航空機アクションが、それぞれ輝きを放っている。

何しろ冒頭から、テーマ曲「デンジャー・ゾーン」で上がる!!
これぞ80年代ロック!!

その後は学校での激烈な競争が始まるのか!!と思いきや、ガッツリ始まるのは、謎の美女とのロマンスだったりする。
トムの生意気盛りの魅力!!
歌での口説き!!
グイグイ行って、相手が気になってきたところで引く、恋愛テク!!!
あれ?何の映画を見てるのだったかな??

実際の戦闘機を飛ばして撮影された飛行シーンは、リアルとしか言いようがない。
言いようがないが、それが、アクション映画として面白いかというと、どうか。
何しろ、俳優はコクピットに座って、ああだこうだと言うだけで、肉体の躍動はない。
代わりに戦闘機のクルクル飛び回る映像、音、スピードがアクションを担うのだが、何しろ高速で飛ぶので、カメラが全体を捉えるにも限界がある。
マニアはたまらないのだろうが、私は訓練シーンではあまり乗らなかった。

ところどころ、意図のわからないシーンが挟まり、評価に困る。
ビーチバレー!!肉体の躍動!!!
バイクでの疾走!!!
隙あらば歌いたがるトムとアンソニー・エドワーズ!!

ドラマとしては、中盤、決定的な出来事が起きて以降は、さすがに引き込まれる。
ここのトムの演技がいい。

何だかんだ言いつつ、クライマックスの展開は熱い。
そして、航空機アクションも一気に迫力を増す。
この緊迫感は格別だ。
これが全編続けば傑作だったかも知れない。

ひょっとして、「これが全編続けば」というやつを続編では見せてくれるのか?
それも現代の撮影技術で?!!
期待は高まる!!!

[テーマ考]
インタビュー記事によると、今作の戦闘機パイロットのドッグファイトは、一種の「スポーツ」として描かれている、とのこと。
たしかに、今作に戦争にまつわる悲壮さは欠片も見られない。

今作のテーマは、戦闘機パイロットという「スポーツ」と恋を通して、若者の成長を描く、と見るのが素直だろう。
ライバル、親友、恋人、メンター。
そして、挫折と復活、そして本物の試練。
深みがあるかはともかく、これぞまさしく、青春成長物語だ。

[まとめ]
トム・クルーズをトップスターに押し上げた、青春・戦闘機アクションの大ヒット作。

今作公開から36年。
トム・クルーズは、若さ溢れる美貌の青年俳優から、狂気のスタントに挑み続ける異形のアクションスターに変貌を遂げた。
そんなトムが、自ら映像化権を買い上げて長年封印し、満を辞して送り出す続編!!!
公開は来週だ!!!