八木

トップガンの八木のレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
3.2
 おそらくは当時のヒットソング、それも全く時代を越えて新鮮に響くタイプではない、もったりとしたリズム隊と軽薄なキーボードが鳴り響くヒットソングとともに、あるときは恋するトム・クルーズ、あるときは危険を顧みず友人を助けるトム・クルーズ、ジーンズでビーチバレーをするマッチョ・クルーズと、トム・クルーズに塩だけかけてヘイお待ち、オーイエイファッキングッテイストアーハー?といった映画となっております。

 現代を生きる我らにとって、また、中年に足を突っ込みながらも80sが決してリアルでもない一部我らにとって、「懐かしい」という記号でしかない80sにあるバブリーな映画の集合体であり、ある地点の完成形であるため「そういったスタンスで求めるこういうの」の数あるバリエーションの1つとして高い評価はできるような気がいたします。
 主人公であるマーヴェリックは、凄腕パイロットの父親の謎の死を気にしつつ、理屈を越えて直感を頼りにときに天性を見せる無鉄砲なパイロットで、友情に厚く、真っ当に評価はできないが上司も密かに認めてて、と、あとは裸チョッキに麦わら帽子でゴムゴムのフライトしたらほぼルフィといった感じです。ルフィは20年旅しますが、こちらは2時間で終えますので、そりゃもう味覚をアホにして楽しんだらいいと思いました。
 ストーリー中、マーヴェリックにとってとあるシリアスな展開を後半に迎えることになりますが、そいつをきっかけに、ライバル視していたあいつや厳しく接してたあいつが「いかにマーヴェリックを評価していたか」が漏れ出し、このパートがまあ気持ちよく、感動も呼ぶところでとても良かったです。

 しかし、一本の映画としてみたときに、ゴーストやランボーや13日の金曜日といった80s名画たちと比較したときに、「改めて触れることにより得られるもの」は正直薄く、別に悪い映画というわけでもないが、深みがあるわけでもなかったです。上記に適当に書いてしまったのですが、やっぱ2時間でルフィが急激成長しようとしますと、振りになってる部分がかなり歪にせり出してしまってる、といったところなど、気になるところは出てきました。
 ある時代のデート映画ってこんなだったんだな、くらいでよいのではないでしょうか。
 ということで、続編映画館で見ようと思います。
八木

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