CANACO

トップガンのCANACOのネタバレレビュー・内容・結末

トップガン(1986年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

今さらながら、次作の予習として鑑賞。

MiG-28(架空の名前で実際はF-5E/F)と偶然接触したトップパイロットのクーガー。そのとき味わった恐怖から彼は自主退官してしまう。彼の退官により、エリート海軍飛行士に対して空中戦術等を教える海軍戦闘機兵器学校(通称トップガン)へ代わって派遣されることになったピート・ミッチェル大尉(コールサインはマーベリック)の成長の物語。

乗り物好きの人と、格好いいヒーローが好きな人にはハマる作品。ケニー・ロギンスが歌った「デンジャー・ゾーン」はアメリカのビルボードで2位に。作品は1986年の最高興行収入を記録。日本でも、1987年度の洋画配給収入1位を記録した。

彼らが操縦しているのは、アメリカ海軍の艦上戦闘機F-14(複座型/二人乗り)で、空母はUSSレンジャー。米国防総省が全面協力し、海軍の実機を使用して撮影。俳優に対して飛行訓練も行った。

戦闘機をスポーツカーのように操縦するやんちゃなパイロットたち。プライベートではアヴィレックスのMA-1を羽織り、カワサキのNinjaを乗り回すマーベリック。そこにワクワクする人が多いことは理解しつつも個人的には苦手。80年代に「ヒーロー、爆破、大統領(アメリカ万歳)」というワードを使って避けてきた、私が感じる苦手なアメリカが本作には詰まっている。

敵国を倒すために、国の税金で買った戦闘機(作品上では1機3000万ドル)を操縦しているが、戦争感を全く出していない本作では、それらを爽快感あふれる乗り物として扱っている。家族のことは大切にしているが、敵国の戦闘機を撃墜させることへの逡巡は見られない。
国防総省が全面協力しているので、エンタメ作品と割り切ってもプロパガンダ的な要素を感じてしまう。戦争はとても非健康的な行為なのに超健康的に描いているところが、入隊勧誘映画に見えて耐えられないのだと思う。

“マーベリック”を演じたのはトム・クルーズ。主役だけにフォーカスしたヒーロー物も個人的には苦手なため、見続けるのがよりつらく感じた。
海軍飛行士だった父譲りの気質と操縦テクを持つイケメンが、狙った年上の教官も落としちゃうどころか逆に迫られるという展開は夢があるのかもしれない。皆に「天才パイロット」と言われ、相棒グースの死で自信喪失状態に陥っても、上官から度を超していると思うほどのサポートを受け、見事復活するのも夢があるのかもしれない。でも、自分の場合は退屈だった。

『刑事ジョン・ブック』(1985)、『告発の行方』(1989)のケリー・マクギリスが、航空物理学博士で民間の教官を務めるチャーリーを演じている。『ピープル』によると、チャーリーのモデルは、2013年から2014年まで半年ほど米国防副長官代行を務めたクリスティン・フォックス。当時カリフォルニア州サンディエゴの海軍航空基地で数学の専門家として働いていたフォックスを本作製作者が紹介されたという。

クーガーとマーベリックのレーダー要員(F-14後席に着席する)を務めたマーリン役はティム・ロビンス、マーベリックの相棒グースの妻役はメグ・ライアンが演じている。どちらも登場シーンは少ないが、二人のキュートな笑顔を見られたのがうれしかった。




◻︎以下、「フットルース」と同文
「MTV感覚」という言葉が、今でいうトレンド入りした1980年代。アメリカのミュージックビデオ専門テレビ局MTVが1981年に開局して以降、音楽×映像の見せ方が大きく変わった。その波は映画界にまで及び、パラマウントはMTV感のある映画を製作。それが『フラッシュダンス』(1983)で、第2弾が『フットルース』。サントラも売れに売れ、両作は商業的に大成功をおさめた。その後同社が送り出したのが、『フラッシュダンス』と同じプロデューサーのドン・シンプソンとジェリー・ブラッカイマーによる『トップガン』(1986)だった。

◻︎参考
中央日報「大統領の好きな映画、ブッシュ氏は『トップガン』ケネディ氏は『ベンハー』」(2003.07.11 17:50)
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