新幹線に、速度が80km以下となると爆発する爆弾を仕掛けて、
乗客を人質に、身代金を要求する犯人グループ。
それと対峙する警察および国鉄とが織りなす、
パニックサスペンスアクション。
これだけのスケールの大きな娯楽大作は、
日本映画では他に例がないんじゃないかと思う程です。
そして、豪華キャストがまた凄いです。
犯人のボス格は高倉健。
国鉄の運転指令室長に宇津井健。
新幹線運転士に千葉真一。
他にも、鈴木瑞穂、渡辺文雄、竜雷太、小林稔侍、丹波哲郎、北大路欣也、
田中邦衛、志村喬、志穂美悦子、多岐川裕美、藤田弓子、などなど。
竜雷太や北大路欣也が若いのに驚きましたが、
それ以上に渡辺文雄がインテリ二枚目でびっくりしました。
食いしん坊ばんざい以降のイメージしかなかったので。
当時の日本の特撮技術は、まだ相対的に優れていたこともあるのでしょうか。
最前線のエンターテインメントを創っているという
創り手達の自信と気概がひしと伝わってくる作品です。
国鉄の司令室セットも出来が良く、適度にアナログでいい感じです。
壁に張り巡らされた監視盤を双眼鏡で眺めてチェックするなど、
なかなか風流です。
内容的には、ハリウッド映画「スピード」と非常に類似しています。
映像トリックもあることから、元ネタと言っても過言ではなさそうですね。
「スピード」は、より一般受けしやすく、アクションも見栄えがして、
それはそれで非常に上手くやっていると思いますよ。
本作は日本人好みに、犯人側の心情描写であるとか、
人質に対する倫理観であったりとか、結構複雑な後味が残る感じです。
本作は、国内での興行は芳しくなかったのですが、
国外、特にフランスで大ヒットしたらしいです。
フランス語版では、犯人側の心情描写はすべてカットされ、
ただの悪人になっていたというのが興味深いところですね。