FumiKawaguchi

解夏のFumiKawaguchiのネタバレレビュー・内容・結末

解夏(2003年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

愛する人との結婚を前に、失明することを告知される。愛しているからこそ、相手を想い、別れることを決意する。でも彼女はそんな彼をも愛し続け、彼の目になりたいという。なんて美しい話なんだろう。なんて深い愛なんだろう。彼女は昔からずっとずっと彼を想い続け、傍にいたいという一心で、長崎まで彼を追ってくる。教職の仕事を辞め、これから光を失おうとしている彼の支えになるために。私だったらどうだろう。あんな風に一途に追いかけられるだろうか?このストーリーって、もちろん彼も辛いけど、彼女も、友達も、そしてお母さんも、みんながそれぞれの痛みを持っている。いろんな障害受容のプロセスがあって、それぞれがそれぞれの立場で、モーニングワークを進めていかなければならない。大学で教鞭を取るお寺の住職との出会いで知る「解夏」。告知により、結夏に入った彼は、やがて失明により解夏を迎えるけれど、実際はそこからもまた苦しく大変な道を歩むはずだ。私も大好きな街。長崎の景色が、ストーリーの切なさにはまっていた。やたら観光地紹介っぽくなりがちな部分はなく、街並みが全体の流れに自然に解け込んでいる。お母さんの優しさや、友達としての支え方。そういうものも押し付けではなく、自然に湧き出るものとして、うまく描かれていると思う。教会の前で、堪えていた感情を放って祈りながら泣く彼女が印象的。辛い思いをしている本人の前で泣いてはいけないと思いながら、みんながそれぞれの感情を抱えて過ごしていることの象徴だと思う。彼女のお父さんも、彼のお母さんも、友達も、住職も、登場人物が、なんだかみんながみんな、すごく素敵な人たちなんだけど、それは彼の人柄ってことかなぁ。実際だったら、色々事情も知らずに、心無いことを言っちゃう人もいそうだよね。
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