まめこ

着信アリのまめこのネタバレレビュー・内容・結末

着信アリ(2004年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

定期的に観返したくなるJホラーブームの火付け役のひとつ。
90年代~00年初期のホラー映画は現代の擦られ過ぎたホラー作品とは一線を画すものがある。

題材が当時普及し始めた携帯電話。
当時中学生だったものでまだ持っていなかったと記憶しているけれど、当時持ち始めた高校生などはたまらなく怖かっただろう。
ただこのシリーズは数年続くので、自分が携帯を持った時にもあの着メロがまだまだ効力をもっていて、いたずらに設定して友人を怖がらせたりした思い出もある。

自分の電話番号から自分の声、画像で死の予告を受ける。
「リング」のVHSもそうだけれど、携帯電話というあまりにも身近なアイテムなので、「当事者になりえるのではないか、ありえないけど、でも…」、という恐怖感からの没入感は今視聴しても確かにある。

中盤までの主人公・由美の周りの友人たちの死の連鎖
最初の友人の死の予告を受けるシーン~なつみの死までの、じわじわと由美に順番が巡ってくる流れはゆっくり丁寧に、しかし随所にインパクトのある死の描写を挟み、観る側を飽きさせず物語に引き込んでいく。
由美の直前、なつみの死の表現が最高に好き。
首がねじ切れる描写をCGに頼らず、特殊メイクも使わずカメラワークやカット割りで表現したり、かわいらしい悲鳴からの徐々に低く呻き歪んでいく吹石一恵の断末魔、完全に呪いを舐めてかかったせいで周りで慌てふためくテレビ関係者のパニック状態。
今なら安易にCGで全身を映してバツンと首と胴体がお別れするところを流してしまいそうな場面だけれど、丁寧に表現しているな~とお気に入りのシーンです。

そこからは呪いのバックホーンを追っていくフェーズに入っていくが、「呪いの大元はマリエ」という体で物語が進み、クライマックスの病院のシーンはこれでもかと畳みかけるホラー演出ラッシュ。
このお化け屋敷ジェットコースター状態はぜひ劇場で体感したかった。

腐り果てたマリエのふやけてずる剥けた皮膚や髪のメイクが素晴らしい。
血走った目の中に明らかに意志が残っているのも人間味がある。

全てが終わった後の安堵からの急展開はあるあるではあるが、
一番の元凶はマリエでなくミミコだったというどんでん返し。
周りに心配されたい、献身的に妹を介護する私を褒めてもらいたい、という代理ミュンヒハウゼン症候群の特徴と、母にかまってもらいたいという子供ながらの純粋な甘えの拗れた行く末の呪い。
周りを巻き込むにはあまりに自分勝手だけれど、怨霊は大体自分のことしか考えてない。
細かいところを言えば色々あるのかもしれないけれど、理不尽と不条理こそホラーの醍醐味だと思うのであまり気にならない。

とはいえホラー作品はやっぱり1が最高なので、2とFINALは蛇足で丁寧さに欠けるな…という印象だし
スマホでリメイクしてほしいという声も
ガラケーだと今の若い人はあまり現実味がないのかもしれないが、時代を感じるホラーとして特に新しくするものでもないなと思います。

ともかく総じて何度も見たくなるお気に入りのホラー映画です。好き。
まめこ

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