ヨミ

崖の上のポニョのヨミのネタバレレビュー・内容・結末

崖の上のポニョ(2008年製作の映画)
3.3

このレビューはネタバレを含みます

こんな幼児を狙い撃ちにしてた映画だったとは知らなかった。

家が全体的に色鉛筆調で、部屋のなかとか線がフリーハンドっぽい感じ。絵本感。
一方で海はすごくフラットでマットな色使いが印象的だった。

ポニョが妹たちと具体的にどういう差異を持っているのかわからない(妹たちはグランマンマーレの直接の子ではないのだろうか)けど、やはり長女だからか……。

沈没後、物々交換が行われたり相互扶助が成立したり、駿の原始共産制への憧れみたいなものが垣間見れた。
基本的にはひととひとの繋がりが大事だなというのが強く、いい話ではあった。

しかし津波描写、3.11前でしかありえなち災害のアクチュアリティだった。今はキツいよなあ。あまりに衝撃を受けすぎている。カジュアルに災害をやっていて、むしろ貴重な描写だなと思う。それを災害として引き受けたのが庵野の『シン・ゴジラ』かもしれない。ゴジラ上陸のときの船が押し寄せる、3.11を思わせるところ、ポニョでも似たような船の山があり、近いなと感じたし、ポニョが形態変化していくにつれて顔の印象が変わるのも近いな、と思う。
しかし波や水を描く、ということに意地が強く見える。

子供がターゲットとして明らかに措定されつつ、流石アニメ作家としての矜持が垣間見え、安定して楽しく観れた。
ヨミ

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