あおや

ガンモのあおやのレビュー・感想・評価

ガンモ(1997年製作の映画)
3.2
「きれいはきたない きたないはきれい」
この耐え難い類似をみよ。

猫の虐殺、身体・精神障害者たち、バスタブで食事………
まるで私たちが何に対して目を背けたくなるかを実験しているような映画であり、人にとってはかなり「キツイ」ように思う。しかし同時に、この作品の持つ美しさに惹かれる瞬間も少なくない。
『マクベス』の魔女の呪文のように、美と醜は相反ものではなく非常に危うい境界の対岸にある。冒頭の「ピーナツバター マザーファッカー」という妙な節のついた言葉は、何故か思わず口ずさみたくなるほどに耳ざわりがよい。ピーナツバター マザーファッカー。

当てつけのように作中で囁かれる「人生は美しい」という言葉。ガス・ヴァン・サントは本作を「人生が変わる」と評した。敢えて本来の意図に反して意地悪く引用するならば、「人生」は美から、いったい何に変容するというのだ。
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