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フォーエヴァー・モーツアルトのsonozyのレビュー・感想・評価

3.5
ゴダールが大作『映画史』の合間に製作したという作品。

哲学教師カミーユ、従兄弟のジェローム、メイドのジャミラが戯曲『戯れに恋はすまじ』上演のため戦火のサラエヴォへ向かう話。
カミーユの父親で映画監督のヴィッキーがフェリックス男爵の依頼を受け新作『宿命のボレロ』を撮影する話。
そして、唐突にエピローグ的なモーツァルトの演奏会。
というユニークな構成。

カミーユと父ヴィッキーは途中、合流するものの、すぐに別れ、その後、カミーユとジェロームは途中、武装ゲリラに捉えられ処刑されてしまう。(戦車や爆発シーンあり)

一方、浜辺に到着したヴィッキーと製作チームは、フェリックスが予算を渋り、死体の散乱する廃墟から息のある男女を運び出したり(この二人がなんと…)、混乱しつつもヴィッキーが撮影を開始。
風吹き荒れる中、主演女優の「ウィ Oui」というひと言を撮るのに延々とダメ出しを続けものすごいテイクを重ねる。

映画はなんとか完成したようだが、関係者に持ち逃げされ、フェリックスは金を稼ぐ必要から急遽ネガをプリントして小さな映画館で上映する。
ここでの観客とのやり取りや、製作途中のフェリックスが秘書にやらせてるポルノ映画らしき録音テープの書き起こし、最後のモーツァルトのパートで、ヴィッキーの撮影助手をしていた男が譜めくりさせられるとか、笑えるポイントもちょいちょいあり、不思議な読後感が楽しめました。

タイトル「For Ever Mozart」は、仏語の「pour rêver Mozart」(≒ モーツァルトの夢をみるために)に聞こえるように意図的に仕掛けられたバイリンガルな駄洒落のようですね。
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