チッコーネ

マーティのチッコーネのレビュー・感想・評価

マーティ(1955年製作の映画)
3.2
バート・ランカスターが立ち上げた制作会社による作品で、スター俳優は出演しておらず、冴えないメインキャラにより物語が綴られていく(個人的には、ストッキーなマーティをかわゆいと思った)。

ふんだんなロケ撮影は、ブロンクス繁華街の空気を伝える。
主人公を取り巻く、性別も年齢もさまざまなスクラブたちの描写は執拗で、初期のフェリーニ/パゾリーニ映画のような雰囲気あり(主人公はイタリア系)。
恋愛映画のように見えて、実は『コミニュティからの自立』という重いテーマが、伏線に敷かれているのだ。

唐突なラスト、この時代の映画にしてはかなり斬新。
また『恋に恋する小市民カップル』がたどる一夜の動きを懇切丁寧に描くスタイルには、ウディ・アレン作品のプロトタイプといった趣もあった。

主人公は終始好漢として描かれているが、実は従軍経験ありの30代独身。
デティールから、彼が相応に荒んだ性生活を送ってきたことも仄めかされている。