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ショウ・ボートのBaadのレビュー・感想・評価

ショウ・ボート(1951年製作の映画)
3.7
映画、とくにハリウッド映画に関しては、短くて簡潔なことが好ましいという持論を持っている私ですが、この映画に関しては、もう少しドラマ部分も歌の部分もゆっくり見せてくれたほうが味わい深かったに違いない、と感じました。

有名なミュージカルの3度目の映画化ということで、使われる曲は素晴らしいですし、ストーリーも練られています。役者さんも、主演コンビだけでなく、ヒロインの両親にも芸達者な名脇役が名を連ねています。(母親はアグネス・ムーアヘッド、父親役は「お熱いのがお好き」のあの億万長者役)。テーマも愛し合った夫婦の行き違い、親子の情、人種差別、と盛りだくさん。見せ場だけを提示されて消化できないうちに映画が終わってしまったという印象が残りました。

一番残念だったのが、準主演のエバ・ガードナーの声が吹き替えだったこと。

美しくて演技力もあり、目を引くのですが、肉声で歌っているキャスリン・グレイソンやハワード・キールとは明らかに演技の質が違うんですよね。それだけでなく、吹き替えの声がいかにも軽々と歌っているので、本来は名ソプラノのはずのグレイソンがかすんでしまう。ひょっとしたら、ワンコインDVDのせいで音が悪かったのかもしれませんが、主演二人のコンビの歌の見せ場は、同じコンビの「キス・ミー・ケイト」とくらべると随分と地味な感じがしました。

物語的にも、陰ながら若き親友の幸せを祈る女ガードナーに焦点が当たっていますが、むしろ主演二人に焦点を当てて物語を語った方が落ち着いてみられたような気がします。

ミュージカルで吹き替えを使ってでも役者をとるか、歌唱力主体で役者を選ぶかは本当に難しいんだな、と思いました。

ガードナーは混血美女という設定でしたが、グレイソンと比べてもまるでそのように見えないところに少し時代を感じました。

舞台や、以前の映画化作品も見てみたい。

(もう少しタメが欲しい  2011/2/13記)
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