めろんぱん

浮草のめろんぱんのレビュー・感想・評価

浮草(1959年製作の映画)
3.5
平成生まれの私には、どうしても中村鴈治郎さん演じる親方が好きになれませんでした。やはり自分勝手で女の人に平気で手を出すところとかが苦手。自分が父親であることは隠しているのに、息子に真っ当な道を押し付けたりするところとか。それが親心なのかもしれないけれど、まだ子供の立場である私からすると「今さら何?ほっといてくれ」と、息子の気持ちが痛いぐらいよく分かる。

と、キャラクターは一旦置いといて。
親方の行動きっかけで息子に拒絶され、芝居一座は解体。自業自得とも言える落ちぶれ方。でも最後に駅で京マチ子さん演じるすみ子に再会する。仲違いのような別れ方をした2人だけど、煙草に火をつけるあのシーンでその2人の蟠りというか関係性がスーッとフラットに、今まで通りに戻るのが分かったし、凄く好きなシーンだった。これまた、親方がすみ子さんのマッチの火をのらりくらりと避けようとするのがいいんだよなぁ。
結局、一座をもう一度盛り上げて成功させたり、バラバラだった家族が一つになる…みたいな目に見える分かりやすい幸せもあるけど、それだけじゃなくて。側から見たらハッピーエンドなの?と言われるかもしれないけれど、自分自身、それぞれが思う幸せこそが一番大事なんだなぁって思った。
めろんぱん

めろんぱん