Naniwa

七つの大罪のNaniwaのレビュー・感想・評価

七つの大罪(1952年製作の映画)
4.5
1952年のフランスとイタリア合作のモノクロ映画。
聖書で説かれる「七つの大罪」をモチーフにした、オムニバス作品となっている。
「貪欲」「憤怒」「怠惰」「淫欲」「嫉妬」「美食」「高慢」のどれがもっとも罪深いかと考えながら鑑賞した。

それで笑っちゃったのは「怠惰」の大罪。
国中のみんなが働くことを辞めてしまい、誰も何もしなくなって社会が停滞してしまう話。
車のドアを開けることすら面倒くさがるんだから、末期だ。
見ているだけなら面白い怠惰な人たちが一番の厄介者かもしれない。

逆に、もっとも恐ろしかったのは「嫉妬」の大罪。
画家の夫を持つ女性が、絵のモデルの女や夫に可愛がられる猫にまで怒り狂う話。
「嫉妬」の罪は、フォーカスが当たっているのが自分ということにポイントがあると思う。本来は嫉妬する必要のないはずの猫にすら暴力を振るうのは、自己憎悪が原因ではないか?

このオムニバス映画は、ジェラール・フィリップが遊園地の球投げ遊技場の客引きとして各挿話をつないでいて(わかりやすく言うと「世にも奇妙な物語」におけるタモリさんのような)刻みの良い構成とテーマのわりにポップな雰囲気で観やすかった。
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