前方後円墳

RAINの前方後円墳のレビュー・感想・評価

RAIN(2000年製作の映画)
3.0
耳の聞こえない殺し屋の物語。
2008年にパン兄弟がニコラス・ケイジ主演でこの同作品のリメイクを監督をしており、似たような部分もあるが、基本的に設定と展開が大きく変更されている。
いわゆる無垢な殺し屋のよくある行く末を描くものになり、今まで人形のようだった純粋な男が一人の女性の優しさを知り、今の自分を見つめるようになる恋心と自己発見。そして大切な仲間を奪われた哀しみと復讐。この二つの基本軸で物語は構成されており、どんどんと哀しい結末へと向かっていく。物語やアクションそのものに衝撃がない分、映像のカット割りや演出でスピード感やインパクト感を出しているのが特徴だ。そして、捉えようによってはキザな台詞や演出もあり、古臭さのような違和感を感じさせるのだが、コン(パワリット・モングコンピシット)の罪を洗い流すかのような雨の降るラストシーンをより切ないものにすために必要な盛り上げ方でもある。
冷徹なフィルム・ノワールの中に殺し屋の孤独と無垢、そして、コンの持つ小さなつながりの大切さと暖かさを地味ながらもしっかりと感じさせてくれる。