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最強のふたりのkayupanのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.0
金持ちの全身麻痺の障害をもつ白人と、スラム街の貧困層の黒人の介護士の話。
介護士が、現代美術やクラシック音楽などのいま教養的に高尚とされる芸術を、何も知らない子どものようにバカにするのは、文化的に取り繕われた人格性の色眼鏡を一気に壊すように見えて気持ちがいい。
また、ナチスまで引き合いに出すなど、際どい障害者に対してのブラックジョークが随所に盛り込まれているのも、一旦同情フィルターをリセットして他者に対する寛容性を限界まで拡大している。
人間の憐みの感情は、教育・訓練的に後付けで養われるものではなく、本来人間に備わっているものであるということを強く印象付けられる。
ショットに関しても、車椅子を入れるため椅子を引くところや、奥の方でピントがずれていて文脈がわかるなど、映像で語る部分が多くある。また、絵画の引用が多く、自然や画面の配色が絵画のように映るのも素晴らしかった。
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