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最強のふたりのeichanのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.6
二人の主人公ドリスとフィリップは全く違う性質の人間だ。住む場所、所得、肌の色、教養、芸術の好み、人との付き合い方。作中では、二人がそんな性質の違いを物ともせず「最強のふたり」になっていく過程が綺麗に描かれている。なぜ二人は「最強」なのか。
ドリスは自由で思ったことをなんでも口にする性格。加えてどんな人とも対等に接する。一般的には失礼だとか適当だとか、マイナスのレッテルを貼られるだろう。しかしフィリップにとっては自分を同じ一人の人間として見てくれるドリスに居心地の良さを感じたのだろう。
フィリップもフィリップで決して善人ではない。当初は堅物で心を閉ざしがちだったが、ドリスと出会ってからマリファナのタバコを欲しがるし無免許で暴走運転する様を楽しんだりするようになる。ドリスがフィリップに開放感を与えたのだ。
ドリスもドリスで成長していく点も見逃せない。フィリップを見て家族と向き合う姿勢を学んだり、芸術に対する教養を身につけたり、実は彼も大きく変化している。
全く違う二人が奇跡的に噛み合い、見事に成長し合っている。「最強のふたり」というタイトルに偽りなしということだ。

コメディ要素も面白い。障がい者であるフィリップをからかうドリスを見ると思わずこちらも笑ってしまうのはなぜだろう。ちょっと不思議な感覚。
冒頭の警察とのやりとりも最高に楽しいし、オペラ鑑賞のシーンとフィリップ誕生会で音楽を楽しむシーンは個人的にお気に入りの場面。ドリスみたいに芸術を楽しめたらいいなと思ってしまう。

総じて、この映画は学びが多いし笑えるし感動できる、私にとっての「最強の映画」の一つであると言っても過言ではない。笑いたい時や人間関係でモヤモヤした時、真っ先に手に取りたい傑作。
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