アナ

最強のふたりのアナのレビュー・感想・評価

最強のふたり(2011年製作の映画)
4.4
最後の最後に、図らずも泣いてしまった...

人生に彩どりを与えてくれた人。
新しい風を吹き込んでくれた人。

それは恋であったり、友情であったり、関係性に名称が見当たらないような深い絆で結ばれたりするもの。

多くは恋愛なので、友情という形で描かれてる作品は珍しいと思った。

富豪の障がい者フィリップは、全身不随と最愛の妻の喪失を超え、色彩が失われた人生だったのか。ドリスと出会う直前の多くは語られないが、ドリスと息が合ってきたら、流れは変わりだす。
どんな関係性であっても、目線を合わせて対等に向き合ってくれるドリス。介護者であり、理解者であり、悪友かつ親友となっていく。フィリップが本当に求めていたものは、ある意味気を遣わないことだったのかな。側から見たらハラハラするようなジョークも、ドリスは無邪気に笑う。
恋バナから下ネタまで、ボーダレスに直球に投げてくるドリスには調子が狂う。そしてフィリップだけでなく、周りの人も次第に彼のペースに巻き込まれていく。ドリスによって、閉塞感漂う環境に新しい風が吹き込まれてきたのだ。

一方、フィリップからドリスにも与える。それは芸術であり、自信であり。二人が好きな曲を紹介し合うシーンは最高だった。
ドリスの絵画を売りさばくエピソードも微笑ましく、フィリップはドリスが可愛いわけ。

クライマックス、フィリップがドリスに「そのまま喉を切り裂いてくれ」というセリフは、本心だったのだろう、印象的。それすらも、底抜けに明るくアホなドリスといると良い意味で調子が狂ってしまう。

そしてラストは、ニクい展開に。ドリス、かっこよすぎ良いやつすぎ。フィリップに、新たな風を吹き込む窓を開けて去っていくのだ、最愛のアリスをそばに置き。
涙がこぼれました。

一人の力で乗り越えられないことも、相方のサポートで飛ぶことができる。それは生活面でも、恋愛でも。

実話ベースとのことだが、最後の本人映像みると、ドリスが有色人種なのは映画オリジナルなのだと思った。フランスにおける黒人ってどんな立ち位置なのか知識不足でよくわからなかった。劇中の時代設定では、移民は被差別者かつ貧窮層ってことなのかな。

まとまりのない感想だけど、じんわりくる映画。邦画タイトルおいと思う時あるけど、これはまさにタイトル通り、最強のふたりでした。
アナ

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