佐藤克巳

四人目の淑女の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

四人目の淑女(1948年製作の映画)
4.0
珍奇な雰囲気漂う渋谷実監督の戦後の価値観の変貌を問う風俗喜劇の野心作。6年振りに帰還した復員兵森雅之は、まるで「舞踏会の手帖」の様に音楽学校時代の四人の女友達を訪ねる。先ず出征前結婚を誓い合った華族令嬢浜田百合子だが、今は没落し金欲しさに成金笠智衆と婚約した。次にダンスホールの歌手三浦光子は、札付きのヒモに貢ぎ喀血もしていた。3番目はスター歌手月丘夢路だが、喀血して病院に運ばれ、森は劇団支配人殿山泰司に追い払われた。最後は鎌倉のナイトクラブマダム木暮実千代に会い、ルーレットで資金を作り金の威力を試すゲームを二人で開始する。浜田の屋敷では奇妙な婚約仮装パーティーに参加し笠との婚約解消が成立し、三浦のヒモに手切金を渡し破綻させた後、病院に行くが、代理に立った木暮は月丘の死を知る。月丘は弁護士清水将夫に一切を託し、森への手紙を木暮は読み、包帯を顔に巻き付け月丘になりすまし、看護婦文谷千代子に呼ばれた森に月丘の意志を伝える。鎌倉に戻る車から森は立ち去るが、木暮はマダムを辞めて森を追う。或いは、木暮は月丘に成り替わろうしたのか?なお、映画初出演の望月優子のバンプ役には驚いた。
佐藤克巳

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