1986年テリー・ギリアム監督。サイバーパンクで正面から政治を風刺っしたダークファンタジー諷刺映画の傑作。ローテクのパイプが絡み合った姿は今のインターネット時代を予見して皮肉っているかのよう。見た目こそ醜いパイプは見えないが、中身はこの映画の描写と変わらない。これは主人公の母の虚飾に満ちた美容再生術にもつながり、見せかけのハッピーライフを演出するSNS時代そのもの。タイプライターに蝿がはさまったために誤って拘束され、闇に葬られてしまう人物はAIで間違って罪に問われる人と全く同じ。アメリカで当初公開時に訳の分からないハッピーエンディングにされてしまったのが残念だが、暗い結末こそふさわしい。