ペイン

エルマー・ガントリー/魅せられた男のペインのレビュー・感想・評価

5.0
『美しき諍い女』のジャック・リヴェットや、S・クレイグ・ザラーもお気に入り映画リストに選ぶ宗教映画の大傑作。

第33回アカデミー賞において、作品賞にノミネートされた他、主演男優賞(バート・ランカスター)、助演女優賞(シャーリー・ジョーンズ)、脚色賞(リチャード・ブルックス)を受賞した本作であるが、日本では知名度がやけに低い作品。

宗教映画ということで身構える人も多いかと思うけれど、私のような無神論者の極みのような人間にこそ響きまくる1作だ。

顔に“私はSEXが大好きだ”と書いてあるが如く性欲強そうな顔圧と、筋骨隆々なボディ、響き渡る太い声が特徴な主演バート・ランカスター。彼が演じる流れ者のセールスマンである主人公エルマー・ガントリーは、ゆく先ゆく先でその得意な話術を駆使し、女を口説き落としてはヤリ逃げを繰り返すサイテー男(※それでもキラリと光る白い歯を見せ笑うエルマーには愛嬌があり、どこか憎めない存在)。

そんな主人公がある時、フラッと立ち寄った教会で若く美しい女伝道師、シャロン・ファルコナー(ジーン・シモンズ←可愛い)に一目惚れする。彼女の気を惹きたいという不純な動機で彼女のその伝道活動を手伝ううちに主人公ガントリーは持ち前のセールストークと強引なやり口で自身も伝道師としての名を高めて行くことになる。しかし、その後…という話。

かのポール・トーマス・アンダーソン監督『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』が類似作品としてよく挙げられるが、それもよくわかる内容。人間の業の深さ、私利私欲に走った者の成れの果て、宗教というものの二面性…等々、ルイス・ブニュエルの作品なんかの要素もある。

シャーリー・ジョーンズ(これまた美人)との一悶着のシーン及び、その顛末には、男としては本当に自分の言動には責任を持たねばと身の引き締まる思いにさせられたし、何よりシャーリー・ジョーンズ演じる娼婦の複雑な女心には胸をしめつけられた。

ザックリ一言、
この映画から得られる男としての教訓は、とにかく女性には優しく、自分の言動には細心の注意を、宗教にはハマりすぎるなということでしょうか。
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